米津玄師さんの「灰色と青」を聴くと、なぜか昔の友人を思い出す。
そんな経験はないでしょうか。
2017年に発表されたこの曲は、菅田将暉さんとのデュエットでも
大きな注目を集めました。
しかし歌詞をじっくり読み解くと、描かれているのは単純な友情や
青春の思い出だけではありません。
大人になって離れてしまった二人。
戻れない時間への寂しさ。
それでも心に残り続ける「青さ」。
そこには年齢を重ねたからこそ分かる感情が隠されています。
では「灰色」と「青」は、何を意味しているのでしょうか。
本人が語った制作背景や菅田将暉さんとの関係を手掛かりに、
歌詞に込められた意味を考察します。
米津玄師「灰色と青」はどんな曲?
『BOOTLEG』に収録された一曲
「灰色と青(+菅田将暉)」は、2017年発売のアルバム『BOOTLEG』に
収録された楽曲です。
発表当初、参加アーティストは伏せられ、「灰色と青(+?)」と
表記されていました。
後に「?」が菅田将暉さんだと判明し、大きな話題になります。
ここで歌詞を読み解くうえで知っておきたいのが公式の説明です。
この曲で描かれているのは、幼い時代を一緒に過ごした友人同士。
大人になってそれぞれの道を歩み、すれ違うようになった二人が、
離れていても奇跡的に重なる瞬間です。
→米津玄師はなぜ絵がうまい?と言われる理由を詳しく見るはこちら
菅田将暉でなければ成立しなかった
さらに米津玄師さんは、この曲には菅田将暉さんが必要だと考え、
本人へ直接オファーしています。
つまり完成した曲にゲストとして、菅田将暉さんを
加えたのではありません。
「二人が歌うこと」そのものが、楽曲を成立させる重要な要素なのです。
この点を知ると「灰色と青」が単なるコラボ曲ではないことが
見えてきます。
「灰色と青」の歌詞の意味を考察
描かれているのは「過去と現在」
「灰色と青」の歌詞の中心にあるのは、過去と現在の距離だと考えられます。
学生時代には毎日のように一緒にいた友人がいても、
大人になれば環境は変わります。
仕事も、住む場所も、目指しているものも違ってくる。
昔と同じようには会えなくなり、気づけば長い時間が過ぎている。
それでも、ある景色や匂いをきっかけに、一緒にいた頃の
記憶が突然よみがえってきます。
「灰色と青」から感じられる切なさは、そんな経験に
近いのではないでしょうか。
失ったものだけを歌っているわけではない
ただし、この曲は「昔はよかった」と懐かしむだけの
歌ではないように感じられます。
重要なのは、失ったものと同時に、今も残っているものを
描いていること。
時間は戻すことができません。
それでも昔の友人と過ごした時間や、当時の感情まで
消えるわけではない。
過去と現在を同時に見つめているからこそ、「灰色と青」は
大人になった人達にも深く響いているのでしょう。
「灰色と青」の元ネタはキッズ・リターン?
米津玄師が語った映画からの影響
「灰色と青」の意味を考えるなら、外せない作品があります。
北野武監督の映画『キッズ・リターン』です。
米津玄師さんはインタビューで、この映画が好きで、
そのような作品を作りたかったと制作背景を明かしています。
映画では高校時代を共にした二人が、やがて別々の道へ
進んでいきます。
ずっと隣にいたはずの相手と離れ、それぞれの人生を生きていく。
この構図を知ってから「灰色と青」を聴くと、歌詞に登場する
二人の距離感がより鮮明に感じられます。
**「さよーならまたいつか!」は2027年公開の劇場版『虎に翼』**でも
オープニングテーマに起用されています。
→米津玄師「さよーならまたいつか!」劇場版『虎に翼』OPはこちら
表現したかった「奇跡的な瞬間」
米津玄師さんが表現したかったのは、ずっと続く
友情だけではありません。
本人は、ほんの一瞬に訪れる「奇跡的な瞬間」を音楽で
表現したかったと語っています。
人生では、それぞれ違う方向へ進んでしまうことがあります。
しかし離れたからといって、一緒に過ごした時間まで
なくなるわけではありません。
別々の場所を歩いてきた二人が、ある瞬間だけ再び重なる。
その刹那的な美しさこそ、「灰色と青」を読み解く
重要なポイントではないでしょうか。
→米津玄師はなぜ絵が上手い?と言われる理由を詳しく見るはこちら
タイトル「灰色と青」の意味とは?
「青」が表すもの
ではタイトルにある「青」とは、何を意味しているのでしょうか。
米津玄師さんは楽曲発表時、二人の歌声を通して曲の奥にある
「青さ」を表現できたと語っています。
興味深いのは、その青さが過去に失ってしまったものなのか、
今も持ち続けているものなのかを、一つに決めていないことです。
「青」から連想できるのは、青春、若さ、未熟さ、純粋さ。
大人になった自分の中にも、昔の「青さ」は残っている。
そんな解釈ができるのも魅力の一つでしょう。
「灰色」は大人の現実なのか
一方で「灰色」については、意味を一つに断定しない方が自然です。
鮮やかな「青」と比較すると、灰色からは色あせた時間や、
変化した日常なども連想できます。
過去と現在。
青春と大人。
理想と現実。
相反するものを二つの色に重ねたとき、「灰色と青」という
タイトルの奥行きが見えてきます。
答えを一つに決めないからこそ、聴く人それぞれの人生を
重ねられるタイトルになっていると感じられます。
「灰色と青」は友情の歌?恋愛の歌?
公式では友人同士の物語
歌詞を聴いていると、「これは恋愛の歌なのでは?」と
感じる人もいるかもしれません。
しかし公式の説明を基準にすると、物語の軸は
幼少時代を共にした友人同士です。
そのため作品の出発点としては、友情と人生の
分岐点を描いた歌と捉えるのが自然でしょう。
ただし歌詞には、「友達だからこう感じる」と関係性を
限定しない魅力があります。
自分の大切な人を重ねられる
昔は毎日のように会っていたのに、今は
連絡さえ取らなくなった人。
故郷を離れて会えなくなった友人。
あるいは、かつて大切だった人。
「灰色と青」を聴いて思い浮かべる相手は人それぞれです。
公式には友情という軸がありながら、聴き手自身の
記憶を重ねられる。
だからこの曲は「友情の歌」という一言だけでは
終わらないのでしょう。
米津玄師と菅田将暉の友情との関係
「灰色と青」をきっかけに親交が深まった
少し不思議なのは、曲の物語と現実の二人の関係です。
米津玄師さんと菅田将暉さんは、長年の親友だったから
この曲を歌ったわけではありません。
米津玄師さんが菅田将暉さんに、強い関心を持っていたことから、
「灰色と青」の共演が実現しました。
そして、このコラボをきっかけに二人の親交は深まっていきます。
「まちがいさがし」へ続く関係
2019年には米津玄師さんが、菅田将暉さんの「まちがいさがし」を
作詞・作曲・プロデュースしました。
つまり「灰色と青」で始まった関係が、新たな作品につながったのです。
これは曲を知るうえでも、興味深いエピソードです。
別々の場所にいる二人が、ある瞬間に重なる。
「灰色と青」で描かれたテーマが、二人の現実の音楽活動にも
重なって見えてくるからです。
「灰色と青」が心に響く理由
年齢を重ねると意味が変わる
「灰色と青」の大きな魅力は、聴く年齢によって感じ方が
変わることではないでしょうか。
10代で聴けば、今そばにいる友人との時間を
思い浮かべるかもしれません。
20代、30代になって聴けば、会わなくなった友人や故郷、
昔の夢を思い出すこともあります。
聴き手自身が変化することで、同じ曲なのに意味まで変わっていく。
筆者としても、時間をテーマにした曲だからこそ、
年月を経ても古くならないと感じております。
誰にでも「戻れない時間」がある
人は大人になるにつれて、何かを手に入れる一方で、
戻れない時間も増えていきます。
昔の友人と同じ場所に戻ったとしても、あの頃とまったく同じ
二人にはもう戻れません。
それでも記憶は残っています。
「灰色と青」は、失った青春を悲しむだけではなく、その時間が
今の自分にも残っていると、気づかせてくれる曲なのかもしれません。
まとめ|米津玄師「灰色と青」歌詞の意味と友情
「灰色と青」は、大人になり別々の道を歩む二人と、
それでも残るつながりを描いた曲です。
『キッズ・リターン』から着想を得て、米津玄師さんが
表現しようとしたのは、人生が一瞬だけ重なるような時間でした。
「青」は過去に置いてきた若さなのか。
それとも今も自分の中にあるのか。
その答えを一つに決めないからこそ、私たちは自分の記憶を重ねられます。
久しぶりに昔の友人を思い出したとき、もう一度「灰色と青」を聴いてみると、
以前とは違う曲に聞こえるかもしれません。


コメント